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天柱ブロック療法とは?後頭部痛・頸部痛でお悩みの方へ

  • 執筆者の写真: 大阪頭痛脳神経クリニック
    大阪頭痛脳神経クリニック
  • 3月22日
  • 読了時間: 8分

更新日:4月1日

はじめに

頭痛や首の痛みは日常生活に大きな支障をもたらします。特に後頭部や首の後ろの痛みは、仕事や家事に集中できなくなるなど、生活の質を著しく低下させることがあります。このような症状でお悩みの方に、東洋医学と西洋医学を組み合わせた「天柱ブロック療法」という治療法をご紹介いたします。


目次




  1. 後頭部痛・頸部痛とは

症状の特徴

後頭部痛・頸部痛は、首の後ろから後頭部にかけて生じる痛みの総称です。この痛みは以下のような特徴があります。

  • 後頭部のズキズキした痛み - 脈打つような痛みが続く

  • 首の付け根の重だるさ - 肩こりと連動することが多い

  • 頭を動かすと悪化する痛み - 振り返る動作などで増強

  • 朝起きた時の痛み - 寝違えたような感覚

  • 天気の変化による痛み - 低気圧の接近時に悪化


原因となる要因

後頭部痛・頸部痛の主な原因には以下があります。

  • 長時間のデスクワークによる姿勢の悪化

  • ストレートネック(首の自然なカーブの消失)

  • 精神的ストレスによる筋肉の緊張

  • 後頭神経の刺激や圧迫

  • 頸椎の変形や椎間板の問題



  1. 天柱穴とは何か


天柱穴の位置

天柱(てんちゅう)は、東洋医学における重要な経穴(ツボ)の一つです。後頭部の髪の生え際、首の後ろにある太い筋肉(僧帽筋)の外側のくぼみに位置しています。

天柱穴の見つけ方:1. 後頭部の中央から指2本分外側2. 髪の生え際のすぐ下3. 首を左右に動かすと動く筋肉の外側のくぼみ


天柱穴の役割

天柱穴は以下のような重要な役割を持っています。

  • 後頭神経との関連 - 後頭神経の走行上に位置し、神経の機能に影響

  • 血液循環の改善 - 首や頭部の血流を良くする

  • 筋肉の緊張緩和 - 首周りの筋肉のこりをほぐす

  • 自律神経の調整 - 交感神経と副交感神経のバランスを整える



  1. 天柱ブロック療法の仕組み


治療の原理

天柱ブロック療法は、東洋医学の経穴理論と西洋医学の神経ブロック技術を組み合わせた治療法です。天柱穴に局所麻酔薬を注射することで、以下のメカニズムにより症状の改善を図ります。

  1. 後頭神経の興奮抑制 - 痛みの信号を脳に伝える神経の活動を一時的に止める

  2. 筋肉の緊張緩和 - 周辺筋肉の過度な収縮を和らげる

  3. 血管拡張作用 - 血流を改善し、痛みを起こす物質を洗い流す

  4. 神経の修復促進 - 神経の炎症を抑え、自然治癒力を高める

なぜ天柱穴が効果的なのか? 天柱穴は後頭神経の走行する重要なポイントに位置しているため、この場所でブロックを行うことで、後頭部痛の根本原因にアプローチできます。単なる対症療法ではなく、痛みの発生源に直接働きかける治療法なのです。



  1. 治療方法


使用する薬剤

天柱ブロック療法では、以下の局所麻酔薬が使用されます。

薬剤名

濃度

作用時間

特徴

キシロカイン


(リドカイン)

1%

1-2時間

効果発現が早い


安全性が高い

カルボカイン


(メピバカイン)

0.3%

2-3時間

作用時間が長い


血管収縮作用少ない


注射量と手技

  • 注射量:通常2-5cc程度(症状により調整)

  • 針の太さ:25-27ゲージの細い針を使用

  • 注射の深さ:皮下から筋肉層まで段階的に注入

  • 注射回数:症状に応じて1-3回程度


治療時間

実際の注射にかかる時間は5-10分程度です。診察から治療後の経過観察まで含めて、全体で30-45分程度を予定しています。



  1. どんな人に適しているか

適応症一覧

症状

適応度

期待できる効果

後頭神経痛

根本的な痛みの軽減

緊張型頭痛

筋肉の緊張緩和

首の付け根の痛み

局所の炎症抑制

肩こりに伴う頭痛

血流改善による症状軽減

ストレートネックによる痛み

一時的な症状緩和

記号の説明: ◎非常に効果的、○効果的、△症例により効果あり


特に推奨される患者さん

  • 薬物療法で十分な効果が得られない方

  • 痛み止めの副作用でお困りの方

  • 根本的な治療を希望される方

  • 仕事や日常生活に支障をきたしている方



  1. 治療効果と成功率


臨床における治療成績

兵頭氏の研究報告によると、天柱ブロック療法は多くの患者さんで良好な結果が得られています。


症状改善率



効果の持続期間

効果の程度

持続期間

患者割合

即効性(治療直後)

数時間-1日

約80%

短期効果

1週間-1ヶ月

約60%

長期効果

3ヶ月以上

約40%



  1. 治療の安全性と注意点


安全性について

天柱ブロック療法は、適切に行われれば非常に安全な治療法です。使用する局所麻酔薬は医科で広く使用されている安全性の高いものです。


副作用と対処法

  • 注射部位の痛み - 一時的なもので、通常数時間で改善

  • 軽度の腫れ - 冷やすことで軽減可能

  • めまい感 - 稀に生じるが、安静にすることで改善

  • 一時的なしびれ - 麻酔薬の効果が切れると改善


注意が必要な方

  • 局所麻酔薬にアレルギーのある方

  • 感染症治療中の方

  • 血液をサラサラにする薬を服用中の方

  • 妊娠中・授乳中の方

  • 重篤な心疾患のある方

※これらに該当する方は、事前に必ず医師にご相談ください。



  1. 従来の治療法との違い


治療法の比較

治療法

効果発現

持続期間

副作用

根本治療

天柱ブロック療法

即効性あり

数週間-数ヶ月

少ない

内服薬(痛み止め)

1-2時間

4-6時間

胃腸障害等

マッサージ・理学療法

施術後

数日

ほとんどなし

湿布・塗り薬

30分-1時間

数時間

皮膚かぶれ

×


天柱ブロック療法の特徴

  • 根本原因へのアプローチ - 痛みの発生源に直接作用

  • 全身への影響が少ない - 局所的な治療のため副作用が少ない

  • 薬物依存のリスクなし - 継続的な内服が不要

  • 東洋医学と西洋医学の融合 - 両医学の利点を活用



  1. 治療の流れ


初診から治療後まで

  1. 初診・問診

    • 症状の詳細な聞き取り

    • これまでの治療歴の確認

    • アレルギーや既往歴の確認

  2. 診察・検査

    • 頭部・頸部の触診

    • 神経学的検査、MRI検査など

    • 天柱穴の位置確認

  3. 治療説明・同意

    • 治療方法の詳細説明

    • 期待される効果と副作用の説明

    • 患者さんの同意確認

  4. 天柱ブロック施行

    • 体位の確保(うつ伏せまたは座位)

    • 注射部位の消毒

    • 局所麻酔薬の注入

  5. 治療後観察

    • 副作用の有無確認

    • 効果の初期評価


治療後の経過

当日:注射部位を強く押さないよう注意。入浴は可能ですが、長時間の入浴は避けてください。

1-3日後:効果のピーク。症状の改善具合を確認してください。

1週間後:効果の持続を評価。必要に応じて次回治療の計画を立てます。



  1. よくある質問(FAQ)


Q: 治療は痛いですか?

A: 注射時にチクッとした痛みはありますが、非常に細い針を使用するため、多くの患者さんが「思ったより痛くない」とおっしゃいます。注射後は麻酔が効くため、痛みは和らぎます。ただ頸部痛が強い方や片頭痛が重い方は薬剤注入時に痛みを自覚される方が多いです。


Q: 何回くらい治療が必要ですか?

A: 症状により異なりますが、多くの場合1-3回の治療で効果が得られることもありますが、慢性的に予防が必要な方もおられます。


Q: 治療後すぐに効果を感じられますか?

A: 多くの患者さんが治療直後から数時間以内に症状の改善を実感されます。ただし、効果の現れ方には個人差があります。


Q: 他の治療と併用できますか?

A: 多くの場合併用可能ですが、服用中のお薬がある方は必ず事前にお知らせください。特に血液をサラサラにするお薬を服用中の方は注意が必要です。


Q: 治療を受けられない場合はありますか?

A: 注射部位に感染がある場合や、局所麻酔薬にアレルギーのある方は治療をお受けできません。



  1. コメント

 少し古い文献ですが、当院でも天柱ブロックを行っていますので掲載しました。上記の記事の適応に加え、片頭痛、群発頭痛の方にも効果がある場合があります。当院の経験上は数日効果が持続する方が多い印象です。慢性頭痛の方でなければ片頭痛の発作ループから抜け出すために使用して、1回の治療で満足される方もおります。

 妊娠・授乳中の方にも使用することは可能で内服よりは全身に薬剤移行が少ないので内服に拒否感がある方にはお勧めして治療しています。

 より長期効果を期待するためにデカドロンというステロイドも併用して行う場合もあります。

 内服効果加療や現在の予防療法でもう一声治療が欲しい方にも希望があれば施行していますので興味がある方はご相談ください。



  1. 参考文献

兵頭正義「ツボを利用した効果的なブロック療法」日本良導絡自律神経学会雑誌, 第32巻, 第2号, pp.31-42, 1987年

※本記事は医学論文に基づく情報提供を目的としており、医学的アドバイスを意図するものではありません。症状がある場合は必ず医療機関を受診してください。





  1. 監修医師紹介

大阪頭痛脳神経クリニック

猪股 拓海 Takumi Inomata



  • 資格・所属学会

    • 日本内科学会 内科専門医

    • 日本頭痛学会 頭痛専門医

    • 日本神経学会 脳神経内科専門医



  • 専門分野

    • 脳神経内科



略歴


2018年

秋田大学医学部医学科 卒業

市立秋田総合病院 初期臨床研究プログラム


2020年

市立秋田総合病院 脳神経内科


2022年

国立病院機構 あきた病院 脳神経内科


2023年

市立秋田総合病院 脳神経内科


2025年

天王寺だい脳神経外科


2026年

大阪頭痛脳神経クリニック / 天王寺だい脳神経外科




天王寺だい脳神経外科

山田 大 Dai Yamada



  • 資格・所属学会

    • 日本脳神経外科学会 専門医

    • 身体福祉障害者指定医

    • 難病指定医

    • 日本脳神経外科コングレス

    • 日本頭痛学会

    • 日本脳卒中学会

    • 日本認知症学会

    • 日本頭痛学会 頭痛専門医


  • 専門分野

    • 頭痛の治療

    • 認知症の治療

    • 首、腰の病気、しびれ

    • 血管の病気

    • めまい、たちくらみ

    • てんかん

    • 高血圧、高脂血症、糖尿病

    • リハビリテーション


略 歴


2013年

近畿大学医学部医学科 卒業

高砂市民病院 初期研修医 内科、外科、製鉄記念広畑病院 救急科


2015年

医療法人寿会 富永病院 脳神経外科


2018年

医療法人寿会 福島県 総合南東北病院 脳神経外科


2019年

医療法人寿会 富永病院 脳神経外科


2021年12月

医療法人寿会 富永病院 退職


2022年2月

天王寺だい脳神経外科 開院






 
 
 

コメント


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