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ラスミジタン(レイボー®)の食後内服の効果

  • 執筆者の写真: 大阪頭痛脳神経クリニック
    大阪頭痛脳神経クリニック
  • 2月25日
  • 読了時間: 9分

更新日:3月26日

この記事のポイント

ラスミジタンは片頭痛の新しい治療薬ですが、副作用が気になる方も多いです。最新の研究により、食後に服用すると副作用が大幅に軽減されることが明らかになりました。この記事では、その理由と具体的な服用方法をわかりやすく解説します。


目次





  1. ラスミジタン(レイボー®)とは?


従来の治療薬との違い

片頭痛の治療では、長年トリプタン系薬剤が使用されてきました。トリプタンは非常に効果的ですが、血管を収縮させる作用があるため、心臓病や脳卒中の既往がある方には使用できないという制限がありました。

ラスミジタンは5-HT1F受容体という特定の受容体に働きかける新しいタイプの片頭痛治療薬です。血管収縮作用がないため、心血管系のリスクが高い患者さんでも使用できる可能性があります。また、トリプタンが効かない方や副作用で使えない方の新たな選択肢として注目されています。


日本での使用状況

ラスミジタンは2022年に日本で承認され、片頭痛治療の新たな選択肢として導入されました。50mgと100mgの2つの用量があり、患者さんの症状に応じて使い分けられています。



  1. ラスミジタンの副作用とは?


主な副作用

ラスミジタンの使用時には、以下のような副作用が報告されています:

副作用の種類

症状の詳細

眠気(最多)

薬の服用後、強い眠気を感じることがあります。日常生活や仕事に支障をきたすことも。

めまい

ふらつきやめまい感により、立ち上がるのが困難になることがあります。

平衡障害

バランス感覚が乱れ、まっすぐ歩くことが難しくなることがあります。

倦怠感

体が重く、だるさを感じることがあります。

動悸

心臓がドキドキする感覚を覚えることがあります。

重要な注意事項

ラスミジタン服用後は最低8時間は運転を避けてください。眠気やめまいなどの副作用により、運転能力が低下する可能性があります。



  1. 最新研究が明らかにした重要な発見


研究の概要

京都大学の研究チームが2022年6月から2023年5月にかけて実施した調査では、23名の片頭痛患者さんを対象に、空腹時(食前)と食後のラスミジタン服用時の副作用を比較しました。




副作用の重症度比較(グラフ)



統計的に証明された効果

研究の統計分析により、食後の服用は統計的に有意に副作用の重症度を低下させることが確認されました(p < 0.001)。これは偶然ではなく、確実な効果であることを示しています。



  1. なぜ食後の方が副作用が少ないのか?


薬の吸収メカニズム

ラスミジタンを空腹時に服用すると、薬は急速に吸収され、約1.5時間で血中濃度が最高値に達します。この急激な血中濃度の上昇が、強い副作用を引き起こす主な原因と考えられています。


食後に服用すると:

  • 食事により胃の内容物が増えるため、薬の吸収がゆっくりになる

  • 血中濃度の最高値に達する時間が約1時間遅れる(合計約2.5時間)

  • 血中濃度の上昇が緩やかになる

  • 結果として、副作用の強度が軽減される



効き目への影響は?

重要なのは、食後の服用でも片頭痛に対する効果は変わらないという点です。今回の研究でも、服用タイミングによる効果の差は統計的に認められませんでした。つまり、食後に飲んでも十分な効果が期待できます。



  1. 実践的な服用方法のアドバイス


推奨される服用方法

おすすめの服用方法

  1. 食後2時間以内に服用する(研究ではこの定義で有効性が確認されました)

  2. 軽食(パン1枚など)でも効果あり - 満腹になる必要はありません

  3. 水やお茶だけでは「食事」に含まれません

  4. 片頭痛の前兆を感じたら、まず軽く何か食べてから服用を検討


服用時の注意事項

注意すべきポイント

  • 服用後8時間は運転注意 - 通勤や外出時は特に注意が必要です

  • 初めて服用する際は、休日など安全な環境で試すことをお勧めします

  • 副作用の出方には個人差があります

  • 効果や副作用を記録しておくと、次回の服用時に役立ちます


患者さんの頭痛日記の活用

研究では、患者さんが記録した頭痛日記が非常に重要な役割を果たしました。日記には以下の内容を記録すると良いでしょう:

  • 片頭痛発作の日時と程度

  • 服用した薬の種類と量

  • 服用前の食事状況

  • 効果が現れるまでの時間

  • 副作用の有無と程度

  • 睡眠時間



  1. よくある質問(Q&A)

質問

回答

Q1: どんな食事内容が良いですか?

研究では食事内容の詳細は規定されていませんが、軽食でも効果がありました。パン、おにぎり、サンドイッチなど、手軽なもので十分です。高脂肪食でなくても効果が期待できます。

Q2: 50mgと100mg、どちらが良い?

今回の研究では、用量による副作用の差は認められませんでした。食後服用による副作用軽減効果は、どちらの用量でも同様に期待できます。用量は医師の指示に従ってください。

Q3: 繰り返し使うと副作用は減る?

一般的に繰り返し使用すると副作用が軽減すると言われていますが、今回の研究では食事のタイミングの方がより重要な要因であることが分かりました。

Q4: 他の片頭痛薬と併用できる?

今回の研究では、ラスミジタンと他の急性期治療薬の同時使用はありませんでしたが一般的には併用可能です。

Q5: 予防薬は続けて良い?

はい。研究参加者も予防薬を継続していました。予防薬とラスミジタンの併用は問題ありません。



  1. 医療機関での相談を


こんな場合は医師に相談を


  • 食後に服用しても副作用が強い場合

  • 副作用により日常生活に大きな支障がある場合

  • 効果が不十分な場合

  • 片頭痛の頻度が増えている場合

  • 新たな症状が現れた場合


治療の選択肢

ラスミジタンが合わない場合でも、トリプタン系薬剤やその他の治療法など、様々な選択肢があります。あなたに最適な治療法を見つけるために、医師と相談しながら進めていきましょう。



  1. まとめ


重要ポイントのまとめ

  1. 食後の服用で副作用が大幅に軽減: 全員が副作用を経験した空腹時に比べ、食後は61%に減少

  2. 重症度も低下: 日常生活に支障をきたす副作用は、87%から17%に激減

  3. 効果は変わらず: 食後の服用でも片頭痛への効果は維持されます

  4. 軽食でも効果あり: 満腹になる必要はなく、パン1枚などの軽食でも十分

  5. 服用後8時間は運転注意: これは食前・食後に関わらず守るべきルールです



  1. コメント

ラスミジタンはトリプタンと異なり頭痛の発生時間と内服のタイミングを意識しなくて良いので、起床時から頭痛がある場合などおすすめして処方することが多いですが、めまいなどの副作用で継続できない方もいらっしゃいます。

元々食後の内服が副作用を軽減するのではと言われていましたが今回の論文でそれが証明された形になります。

ラスミジタンは合う方には今までの生活を変える可能性のある薬ですので副作用を可能な限り低減させて使用できる方法がより追求されることが期待されます。



  1. 参考文献

【主要論文】

Tatsuoka Y, Naruse T, Shima A, Takahashi R, Tatsuoka Y.

Comparison of the adverse events of preprandial and postprandial lasmiditan intake: A retrospective chart review.

Cephalalgia Reports. 2025;8:1-6.

※本記事の主要根拠となる京都大学の研究論文


【ラスミジタンの薬理作用】

Rubio-Beltrán E, Labastida-Ramírez A, Haanes KA, et al.

Characterization of binding, functional activity, and contractile responses of the 5-HT1F receptor agonist lasmiditan.

British Journal of Pharmacology. 2019;176:4681-4695.

※ラスミジタンの5-HT1F受容体選択性と血管収縮作用の欠如について


【食事と薬物吸収の関係】

Szkutnik-Fiedler D.

Pharmacokinetics, pharmacodynamics and drug-drug interactions of new anti-migraine drugs—lasmiditan, gepants, and calcitonin-gene-related peptide (CGRP) receptor monoclonal antibodies.

Pharmaceutics. 2020;12(12):1180.

※食事による薬物動態への影響について


【運転能力への影響】

Pearlman EM, Wilbraham D, Dennehy EB, et al.

Effects of lasmiditan on simulated driving performance: Results of two randomized, blinded, crossover studies with placebo and active controls.

Human Psychopharmacology: Clinical and Experimental. 2020;35:e2732.

※血中濃度ピーク時の運転能力低下について


【心血管系リスクとの関連】

Shapiro RE, Hochstetler HM, Dennehy EB, et al.

Lasmiditan for acute treatment of migraine in patients with cardiovascular risk factors: Post-hoc analysis of pooled results from 2 randomized, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trials.

The Journal of Headache and Pain. 2019;20:90.

※心血管リスク因子を持つ患者での安全性について


【トリプタン抵抗性患者での効果】

Reuter U, Krege JH, Lombard L, et al.

Lasmiditan efficacy in the acute treatment of migraine was independent of prior response to triptans: Findings from the CENTURION study.

Cephalalgia. 2022;42:20-30.

※トリプタンが効かない患者でも効果があることについて


【第3相臨床試験の安全性データ】

Krege JH, Rizzoli PB, Liffick E, et al.

Safety findings from Phase 3 lasmiditan studies for acute treatment of migraine: Results from SAMURAI and SPARTAN.

Cephalalgia. 2019;39:957-966.

※主要な副作用の種類と頻度について


【食事と薬物相互作用の総論】

Schmidt LE, Dalhoff K.

Food-drug interactions.

Drugs. 2002;62:1481-1502.

※食事による薬物吸収への影響の一般的メカニズムについて


【国際頭痛分類】

Headache Classification Committee of the International Headache Society (IHS).

The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition.

Cephalalgia. 2018;38:1-211.

※片頭痛の診断基準について


【トリプタンの心血管リスク】

Petersen CL, Hougaard A, Gaist D, et al.

Risk of stroke and myocardial infarction among initiators of triptans.

JAMA Neurology. 2024;81:248-254.

※トリプタンと脳卒中・心筋梗塞リスクについて


【急性期治療の重要性】

Lipton RB, Fanning KM, Serrano D, et al.

Ineffective acute treatment of episodic migraine is associated with new-onset chronic migraine.

Neurology. 2015;84:688-695.

※急性期治療の不十分さが慢性片頭痛への移行リスクとなることについて


⚠️ 免責事項

本記事は医学論文に基づいた一般向け情報提供を目的としています。個別の治療方針、薬の選択、用量については、必ず担当医師にご相談ください。本記事の情報を参考に行動される場合は、自己責任でお願いいたします。





  1. 監修医師紹介

大阪頭痛脳神経クリニック

猪股 拓海 Takumi Inomata



  • 資格・所属学会

    • 日本内科学会 内科専門医

    • 日本頭痛学会 頭痛専門医

    • 日本神経学会 脳神経内科専門医



  • 専門分野

    • 脳神経内科



略歴


2018年

秋田大学医学部医学科 卒業

市立秋田総合病院 初期臨床研究プログラム


2020年

市立秋田総合病院 脳神経内科


2022年

国立病院機構 あきた病院 脳神経内科


2023年

市立秋田総合病院 脳神経内科


2025年

天王寺だい脳神経外科


2026年

大阪頭痛脳神経クリニック / 天王寺だい脳神経外科




天王寺だい脳神経外科

山田 大 Dai Yamada



  • 資格・所属学会

    • 日本脳神経外科学会 専門医

    • 身体福祉障害者指定医

    • 難病指定医

    • 日本脳神経外科コングレス

    • 日本頭痛学会

    • 日本脳卒中学会

    • 日本認知症学会

    • 日本頭痛学会 頭痛専門医


  • 専門分野

    • 頭痛の治療

    • 認知症の治療

    • 首、腰の病気、しびれ

    • 血管の病気

    • めまい、たちくらみ

    • てんかん

    • 高血圧、高脂血症、糖尿病

    • リハビリテーション


略 歴


2013年

近畿大学医学部医学科 卒業

高砂市民病院 初期研修医 内科、外科、製鉄記念広畑病院 救急科


2015年

医療法人寿会 富永病院 脳神経外科


2018年

医療法人寿会 福島県 総合南東北病院 脳神経外科


2019年

医療法人寿会 富永病院 脳神経外科


2021年12月

医療法人寿会 富永病院 退職


2022年2月

天王寺だい脳神経外科 開院







 
 
 

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